聯日の猛暑。
愈々夏も本番になりつゝある様でございます。
夏は私の最も好きな季節。然してこの季節を存分に味わう事がこの時期を樂しく過ごす秘訣と考えております。
夏の雰囲氣を大切に
夏になると必ずと言って良い程、テレビで放送されるあの映画の雰囲氣が多くの日本人の心に響く様に、夏には何か特別な思いがあるのです。
あの雰囲氣を日々の暮らしで感じ乍ら生活出來ると、それは樂しいものだろうと思うのであります。
これだけでも夏はとても樂しいのです。
この樂しみがあればこそ、この季節を過ごすのが好きになるのだと思います。
酷暑の續く日々、氣力も低下して嫌氣の差してくる日常を如何に面白くするか、樂しく思える様にするかがお一人様の腕の見せ所でもあるかと存じます。
私はこの季節にこそ相応しい雰囲氣を以って夏を愉しむ事に致しております。
それは恰も『少年時代』の様に…。
良い雰囲氣には良い匂いがする
幸福な事に日本には四季があり、日本人はその時々で色々な感受性を育んできたものです。
季節や天氣の匂いを感じる事が出來る。
季節の音を聴き取る事が出來る。
そんな當り前の様な事が實は日本人が會得した凄い能力である様です。
我々はこの素晴らしい能力を活かさない手は無いのです。
それが日々の暮らしの幸福につながるのでしたら尚の事であります。
そこで今回は「夏の匂いのする夕食」を主題に献立を作ってみる事に致しました。
先ずはいつもの様に自作の「囲炉裏」にカセットコンロを設置します。
そこへ去年合羽橋で賈ってきた鋳物の鐵板を置きます。
日本製の南部鐵器です。良い道具を持つと使う度に樂しくなれるものです。
蚊やり器のミニブタ君で蚊取り線香を焚いて窓際に風鈴を吊るして準備完了。
あとは肴として冷奴と枝豆とモズクの酢の物、そして少し形が崩れましたが近所で賈ってきたお好み焼きを用意します。
ジュージューと威勢の良い音がします。
こう云う物は自分で焼くから旨いのです。
イカは唐辛子をまぶしたマヨネイズで戴きます。
夏の夕暮れ。この時期ならではの酒の樂しみです。
そして、お待ちかねの焼きとうもろこしです。
葉っぱを剥く際に持ち手の部分をうっかり折ってしまったのを氣にしてはいけない!
適度に焦げ目が附いたら醤油を上からかけます。すると、あの頃の縁日の匂いがします。
夏の日に嗅いだあの匂いが食欲をそそると共に、どこか懐かしい氣持ちにさせてくれます。
この匂いは蚊取り線香の香りと絶妙に調和し、あの夏の夕暮れ時に薄暗くなりつゝある茜色の景色が深層心理より鮮明に蘇ってくる様です。
日本の夏の匂いなのです。
この香りを嗅ぎながらの食事は本當に樂しいものです。
…ついでに余った箇所でニンニクを焼いて食べております。夏はスタミナを附けなくてはなりません。
あとは焼きナスでも出せば言う事無しだったのですが運悪くナスが無かった為、今回は見送ります。しかし、次にやる樂しみが出來ました。
以前旅行した新潟県某所の酒蔵で戴いてきたお猪口で酒を呑むと當時の旅情を思い出させてくれます。
暮らしの一時を愉しむ
今回は食事でありましたが、季節に應じてその雰囲氣を出來る限り愉しもうとすると毎日が面白くなります。
簡單なもので結構なのです。
最初は一寸空いた時間に蚊取り線香を焚いてバルコニーに出るだけでも夏はすぐそこに感じられます。蚊やり豚や風鈴など有ると尚結構です。
風鈴の音、蚊取り線香の香り、そして蝉の無く声…。
こうなると次に冷たい物が欲しくなってきます。
心太やスイカなど有ると最高ですが、ゼリーやジュース、アイスでも結構でしょう。
そうして徐々に樂しみを拡げていくと出來る事も増えて、いつの間にか心がウキウキするものです。
今回の私の食事も最初は野球中継を観乍らの罐詰と冷酒の晩酌から始まりました。
風鈴が加わり、蚊やり豚君が加わり、遂には囲炉裏で鐵板焼きなど始める様になったのです。
こうしている間にも次は何をしようか樂しみで仕方がありません。
夏は私の最も好きな季節。
激烈な氣候と健康管理に注意せねばなりませんが、この時期ならではの樂しみを忘れない様にしたいものだと思っております。
御仕舞に…
暑中お見舞い申し上げます。
暑さ厳しき折どうぞご自愛ください。
いつもありがとうございます。