私が愉しんだ初めての夕涼み。それは田舎の知人の家に遊びに行った時で、その時私は未就學児でした。
それは山々に響き渡るヒグラシの声に軒先の風鈴の音、真っ赤な夕雲に夏の匂いを木々の間から連れてくる涼しげな夕風、そして蚊やり豚からほのかに香る蚊取り線香と縁側には冷えた西瓜が並んでいて…。
こんな素晴らしい日本の夏を満喫出來る私は、きっと特別な存在なのだと感じました。
今では私は社会人。
この時期に大切にしているのは勿論、夏の風情。
なぜなら、これもまた特別な存在だからです。
…と云う訳で、この時期に必ずやっている事が有ります。
それは外で食事をすると云う事。
バルコニーで夕食を
この様にバルコニーに即席のカウンターを設けてそこで夕食を食べるのであります。
決して「外食」をすると云った意味ではなかったのです。悪しからず……。
外の風に當たり乍ら食事を摂るのは中々にして快いものでありまして、冷房の風では為し得ぬ「心の清涼」を感じる事が出來るのであります。
足元には「たらい」を置き、氷水を入れてあります。
足を浸けると何とも言えぬ心地良さ!
昨今、冷房だけに頼るのではなく、こうして涼を取る事もまた宜しいのではないかと思うのであります。
軒先にはこうして風鈴を下げており、食事中に涼しげな音色を愉しむ事が出來ます。
さて、こうして「外で食事をする」と云う事を割と頻繁に行っているのでありまして、非日常を愉しむ一助となっております。
夏の夕風を愉しみ、風情を感じ乍らの食事は誠に良い物であります。
毎日の夕食も時にはこうして摂ってみるのも実に愉しいものであります。
蝉の声も雰囲気を盛り上げてくれます。蚊遣り器のミニブタ君も大活躍です。
段々と薄暗くなっていく夏の夕焼けを見乍ら呑む酒はまた一段と美味しく感じるのであります。
これは今の時期にしか出來ないとても貴重な時間だと思っております。
その貴重な時間を如何に愉しむかが心の豊かさに繋がるのではないかと推察さるのであります。
大切なのは風情を愉しむ事
一人を愉しむ方法は幾らでも有るのでありますが、この様に季節の風情を感じる事もまた極めて有用な方法であります。
毎日をただ過ごすのではなく、こうして何でも良いので風情を感じ乍ら、その時々を愉しめれば日々の生活は自ずと充実してくるのであります。
折角の夏なのですから、夏の日そのものを愉しもうではありませぬか。
その時々の風情を愉しむ事、是即ち一人を愉しむ妙法なりと言えるのであります!
夏空に乾杯!!