一人で居ると云う事は負の感情を抱き易くなるものでございます。
それに捉われては一人も糞もございませぬ。そうなっては「孤独」なのであります。
一人と孤独は似て非なるものと考えております。
孤独ならぬ御一人様を目指すには各人なりの工夫乃至規範が必要になるかと存じます。
欲すると雖も妬まず
人間、誰しも他人と自分を比較し得るものでございます。
特に一人で居るとその傾向は顕著になる事がございます。
一人で居ると云う事は或る種の限定的な環境に身を置く事にもなります故、そうでない世界で生きておられる方々が気になるものであります。また、その世界に有るものを欲する時もございます。
自分の欲するものを如何にか手に入れんとする事は自然な事でございます。
一人で居る時こそ欲しいものを手に入れる為の努力は大いにすべきであります。
自分の為に自分の持てるものを増やしていく事は一人で居る事の愉しみでもあります。
しかし乍ら、一人では手に入らぬものも実に多く御座居ます。寧ろそちらの方が多いかも知れませぬ。
そうした時、自分には無く他人が持てるものを酷く羨み、妬む事が誰にでも有るのでございます。
そうなっては、えも言われぬ劣等感から一人で居る事が否定的になってしまうのであります。
一人とは自分の世界を感受するものでございますが、他人を參考にするのは大いに結構。されど逐一それを氣にしては自分の世界は一向に築けないのであります。
結局のところ、無い物強請りが酷くなり、一人で居る事がツマラナくなるものでございます。
お前のものはお前のもの、俺のものは俺のもの
…と云う割り切リー…です。ハイ☆
仮令、自分に無くて他人が持っているものが有ったとしても、他人が持っていないものを自分が持っている事があるのでございます。
一人とは自分の持てるものを以って愉しむを肝要とするのでございます。
持たざると雖も卑下せず
これは前項と似た様なもので、此処でも人の目を氣にしたり、他人と比べる自分が存在するのでございますが、負の感情の行き着く先が異なるのであります。
即ち、他人ではなく自分自身に否定的なベクトルが向けられ、卑下するのであります。
疎外感を抱き、自己否定に陥り「自分はダメなんだ」と思い、虚しさ・寂しさを増長するのでございます。
例えばお金、友達、恋人等…。成程それらが有ればどれ程素晴らしい事か。
無いものは無いのであります。
時としてそれらを得ない事も充分に有り得るのでございますが、それだからと云って自分を否定してしまうのは短絡的であります。
持てないものが有るにしろ、一人で居る内に得られるものは存分にございますし、その努力を大いにすべきなのは先述の通りであります。
又、自分の求めるものが無かったとしても、別の何かが手に入る事がございます。それを活かす事で何らかの意義を見出せる事もございましょう。
さすれば自らを何ら惡し様に思わずに濟むものでございます。
案外「自分には何も無い」と云うのは有り得ないハナシなのであります。何かが必ずございます。
然らば、焦らずに今有るもので日々を愉しむ事も又、御一人様の心得でございます。
無きところに有るを見出すこそ一人の上手なれでございます。
愉しむと雖も惡を為さず
一人とは愉しみの多いものでございますが、それらを愉しむ上での最低条件でございます。
惡とは「惡い事」、即ち「他人の迷惑乃至損害に成る事」でございます。
言う迄も無く、そう云う事は為さらない事でございます。
そんなの常識よ!「當たり前田のクラッカー」であります。
これだけでは幼稚園・保育所レヴェルのハナシですので、今少しこの「惡」について申しますれば「自分に対する惡」と云う事に御留意賜りたく存じます。
自分に対する惡とは自分の損害に繋がるものであります。
意図せずに自分自身に対して惡事を働いてしまう事が割とよく起こり得るのが人の常と云うものでございましょう。
即ち、自堕落・不摂生の類が先ずは挙げられるものでございます。
言う迄も無く、それらは結果として自分の損害に繋がるのであります。
こうした状況を打破する要領は一朝一夕に導き出す事は出來ませぬが、一つの手段と致しまして自分の持てるものを何かに役立てんとする事であります。
願わくば、各人の持てるものを以って各々が解決せん事を希望する次第であります。
一人をば如何にか役立てんと思う身ぞ一人の意義たるべしでございます。
御一人様の終わる時
残念乍ら、一人と云うのはいづれ終焉を迎えるものであります。
然るに、一人で居る時間とは掛け替えのないものでありますれば、全うするには各人の創意工夫が必要不可欠でございます。
もしも自分なりの指針が難しくなった時は、それが御一人様の終わる時と成りましょう。或いはそれが所謂「引き際」なのかもしれませぬ。
無理をして自らをリア充たらしめる必要が無いのと同じ様に、無理をして御一人様で居る必要も無いのであります。