「航空元氣酒」と「航空葡萄酒」
是等は戦時中に実在した、今日で云うトコロの「栄養ドリンク」のご先祖様であります。
旧帝國陸軍航空隊の飛行機乗りに支給された「特別糧食」らしく戦闘機や爆撃機に長時間搭乗するパイロットの疲勞回復を目的に作られた物らしいのであります。
當時の航空隊は飛行機のパイロットの為にこの他にも様々な「航空糧食」を作っていたらしく、色々な工夫も見られ中々面白そうな物も有ります。
ネーミングセンスがいかにも帝國軍人らしく、是を角館の博物館で見掛けた際は或る種の「インスピレヰション」を感じたのでありました。
(角館へは今は亡き「寝台特急あけぼの号」を利用して秋田を旅行した際によく行ったものですが、そのハナシはまた別に機会に…)
この「航空元氣酒」と「航空葡萄酒」をモチーフにしたカクテル(?)を作ってみました。
やはり入れ物から表現してみたかったのですが、丁度良い形状の物が見當たらなかった為、実物よりも瓶が太めに出來ております。
是は梅ジュースの空き瓶を利用した物でございまして、ラベルは「MicrosoftのWord」を使って実物に則り自作致しました。
氣になる中身は…
當然の事乍ら、実物の中身に関する詳細は一切不明であります。
(一説に因ると「ヒロポン」が入っていたとか…)
……で、ありますので、瓶の説明書きだけを頼リー…に勝手に想像して作りました(^-^;
(私の母方の祖父は航空隊の教官をしていたらしいのですが、最早是に附いて質問する術がございません……)
…で、ありまして、この説明書きを読むトコロ……
「本品ハ甘味ノ酒ニ特殊ノ強精剤十数種ヲ加ヘタルモノニシテ疲勞ヲ癒シ頓ニ元氣ヲ出ス」
…と有ります。
つまり含有さる物質の特徴は…
イ)酒が入っている事
ロ)特殊の強精剤が入っている事
ハ)甘味である事
…であります。
この三点を留意して己の至極勝手なる想像力を総動員して製作せる物にてございます。
先ずは酒。
是は色々に試作を重ねた結果、日本酒が風味の面で妥當と判断致しました。
次に特殊の強精剤。
恐らくは漢方の類であろうと想定さる物にてございますので、「酒+漢方」と云う圖式に則り、市販の某薬酒を用いた次第であります。
更に「強精」と云うコトで……「黒ウコン」を隠し味に加えました(^-^;
最后に甘味。
滋養強壮で甘味となれば、今日の科学が生み出した「栄養ドリンク」を割材として添加致しました。
※因みに「葡萄酒」の方は日本酒をワインに替えただけであります。
(赤玉ポートワインが風味の面で宜しかろうと存じます…)
詳しい配合の割合は秘密でありますが、概ね此処に写れる材料を用いるトコロであります。
瓶ヲ銜ヘテ飲ムナリ
さて、材料を混ぜ合わせて出來たこの「航空糧食」でありますが、説明書きには
瓶ヲ左手に握リ、口で栓ヲ銜ヘテトリ、飲ムナリ。一回一本トス。
…と有りますので、その通りにして呑んでみました。所謂「喇叭呑み」であります。
味は甘い漢方薬と云った感じでありました。
しかし、某薬酒の薬効か「強精剤」の作用か、体が火照ってくるのであります。
アルコールに因る浸透圧の影響か、吸収が早い様に感じるのであります。
成程、是を呑めば元氣百倍!!
そして最后に何よりも、命を懸けてこの國の為に戦っていった兵隊さん方に思いを馳せるのでありました。
今、こうして呑気で居られる事の重大さを痛感せるものにてございます…。
戦争の是非は別として、當時の日本軍の創意工夫を思わざるには居られぬ物にてございました。