1ヶ月前の丁度今頃、我が帝國海軍で食されていたとされるカレーライスを再現せんと作って愉しんでいたところでありましたが、今度は獨逸海軍、それも大西洋にて海の狼と恐れられたUボートで供されていた献立を再現する事に致しました。
再現に當たって
この献立の再現に當たって參考にしたのがこの文献。
この本は昔入手した物でありますが中々にして面白く、當時の海軍の潜水艦乗組員の話や潜水艦の構造、戰術、艦内環境からそこでの日常生活等色々な内容が解り易く記されております。
中には現在に於いて參考になる知恵の幾つかも散見出來るので大切に蔵書しております。
余談でありますが、この本で主題になっている「潜水艦に艦載機を載せて敵を攻撃する」と云うアイデアは各國で研究されていたものの、我が帝國海軍潜水艦の技術は戰後になって米國をも唸らせたものであり、今日の戰略ミサイル原潜に通じるアイデアとも言われております。
現に戰争に於いて現時点で史上唯一の米本土爆撃を實現したのは日本の潜水艦から飛び立った焼夷弾を抱えた水上機であると云う事實がございます。
(この本が紹介している潜水艦とは違う艦ですが、詳しくは割愛します)
さて少々脇道に逸れましたが、この本には潜水艦での食事の内容も詳しく記されており、その中の記事として獨海軍Uボートの献立の話が出てきておりました。
かいつまんで言うと、以下の通りであります。
Uボートの食事は出航から10日分ずつ焼き方の違った黒パンが主食でそれにサラミ、ソーセージ、チーズ、バターをたっぷり摂っていた。
生野菜は出航してから暫くの間はオニオンスライスとジャガイモの丸煮でこれにビタミン剤、珈琲が有れば充分だった。
…とあります。
この記述を基にして作ったのがこの夕食であります。
中々にして食べ応え充分
食材はスグに用意出來る物で調理も簡單であります。
流石は軍人さんの食事だけあって中々食べ応えがあります。
珈琲はヨーロッパ風に苦みの濃い豆を選びました。
サラミにジャガイモに黒パンと、いかにも獨逸國を思わせる内容です。
先に紹介せる本によると潜水艦乗組員は過酷な環境下での任務を遂行する関係上、海軍の中でも特に恵まれた食事が提供されているらしく、日本でも終戰時迄常時銀シャリが食べられたとあります。
…しかし、折角なので……
こうなると、どうしても欲しくなります。…仕方無いね。
昔、一部で評判になった横スクロールのシューティングゲームで流れていた「ドイツ人ジャーマン」と云う曲が似合いそうです。
非日常を味わう夕食のひと時
ここでは普段食さない物として「黒パン」が出てきます。
黒パンと云っても黒砂糖の入った甘い菓子パンではなく、ライ麥パンの事であります。
この入手がやや難しいかもしれませんが、近所に輸入食品を取り扱うお店が在るのでそこで調達出來ました。
長持ちするので便利です。
戰争の是非は別として普段中々お目にかゝれないコンセプトで食事を用意してみるのも、また面白い事と存じます。