お題「#おうち時間」
先日の氷雨が嘘の様な、うらゝかな初夏の陽氣。
日曜日のこう云う日は財布を忘れて賈い物に出掛けてしまいそうになる様な良い天氣であります。
さて、こんな良い天氣ですが今少しの間、外出は控えなくてはならないのであるからして今日もイマドキのコトバで言うところの「おうち時間」とやらを樂しむ訳であります。
日常の暮らしこそが最良の「おうち時間」
何か特別な事をやるのはとても樂しいものですが、いつもいつもそれを求めて仕舞うと何かと草臥れるものでございます。
そこで特に身構えて大掛かりな事をせずとも毎日の生活の延長線上に色々と樂しい時間が在るものだと考えております。
即ち、日々の暮らしの何氣無い一場面を少し工夫して面白くすれば宜しいのであります。
然して、今日は少し早く日の高いうちにお風呂を少々氣取って入る事と致しました。
それなのに記事を書くのがこの時間になってしまったのは、いささか酒を呑み過ぎてしまったからかと…。
無礼の段、平に御容赦……。
今日も自宅で温泉ごっこ
本來ならば温泉旅行に行きたいところでありますが、大切な事は「雰囲氣と流れゆく時間を愉しむ」事であります。
これは特定の物質を以って物理的な状況下に因る享樂を感受するものでありませんので、いささか要領が必要であります。
「安禅必ずしも山水を須いず、心中を滅し得れば自ら涼し」の境地に立つが如く心の持ち様が大切なのであります。
…とは申せ、自宅のポリ風呂をどこか山深い場所に在る温泉に見立てるのは土台無理なハナシなのかもしれません。
そこで、いきなりそれを求めるのではなく「自宅の風呂の温泉」即ち「ウチの湯」と云うモノを自分で勝手に想像してしまうのです。
先の記事にてお風呂を自分好みにしたのはこれを達する為でもあるのです。
謂わばその「独自の空間」の雰囲氣を盛り上げて愉しむ事が肝要なのであります。
色々に工夫の仕方はございますが、私の場合は心情を豊かにする小道具を幾つか用いる方法を採っております。
直接完全を狙えずとも、どこか巧い落とし場所がどんなものにも有るものでございます。
本日の「ウチの湯」
普段は「温泉の素」を使うのでありますが、毎日コレだけでは藝が無く厭き易くもなりますれば日によって湯を色々に愉しむ方法を考えております。
これは埼玉縣の名栗村に在る温泉で賈ったヒノキの木片(一応、西川材)でございまして、湯に入れるとヒノキの上品な香りが染み出してお湯の當たりが軟らかく感じられます。
ヒノキに含まれる微量の油分が分泌されるので保湿効果も期待出來ます。
今回はコレを使う事に致します。
ほのかに漂うヒノキの香りを愉しみつつ防水のウォークマンから流れる昭和歌謡曲を聴き乍ら自分のお氣に入りの場所で寛ぐひと時は眞に格別であります。
本日の湯を存分に愉しんだ後は愛用のケロリン桶で上がり湯をバサっと掛けて湯船を後にします。
そして樂しみにしていた一品をば…。
風呂に入る前に豫め冷蔵庫に用意しておきます。
コレは瓶入りコーヒー牛乳の空き瓶を取っておいた物でございまして、洗って再利用しております(中身は100圓で賣っていたパックのカフェオレであります)
やはり風呂上りはこうして瓶入りの物を飲むのが宜しいのです。
一糸まとわぬいでたちで仁王立ちになり腰に手を當てて一氣に飲んでプハーっと……。
なんとも贅沢な一瞬です。
ちなみにこの空き瓶ですが、その時々に依ってフルーツ牛乳になったり、或いは森永乳業の「マミー」になったりと風呂上りの一服の清涼に大いに役立つのであります。
一家に一つ、有ると重宝します(笑)
今はフタがプラスチック製になったので、何度も使う事が出來て便利です。
子供時代の紙製のフタが懐かしい今日この頃…皆様如何お過ごしでしょうか。
風呂上りも樂しみは続く
まずはコレ
伊豆の温泉の土産屋で賈った物です。
コレが中々にしてイイのであります。
次にコレ。この時期の風呂上りは浴衣か作務衣が宜しいのであります。
今日みたいな陽氣の日に着る浴衣は心地良いものであります。
更にタオルも…
この宿の屋號が入っているタオルを使う度に、旅の思い出が蘇って心が安らぎます。
自宅の温泉氣分。なんだかんだで樂しく味わえました。
それは中々にして上質のひと時…。
心の安らぐ一瞬こそが「おうち時間」の骨頂
何故、今おうちで樂しむのか。
今一度独自に考察申し上げれば、それはひとえに「樂しみ」と「心のゆとり」を求めるからに他ならぬと存じます。
忌々しき傳染病に因って、こうした「心の疲れを癒す行為」が出來る場所が今たまたま自宅に限られているだけでありまして、實は「おうち時間」に求められている事そのものは、或いは人の心の片隅にひっそりと佇むものが生み出すごくありふれたものではなかろうかと存じます。
創意工夫は素晴らしく、それなりに面白く、決して惡くないのですが、なんとなく「リモート大喜利」を観た後で昔の笑点(先代の圓樂さんが司會をなさっていた時代)が恋しくなりました。
さて、今日も樂しくお風呂に入りましての晩酌と洒落込んで明日も如何にか過ごさんと思うところでお時間が來てしまった由にてございますれば、これにて一巻の終わり。またのご縁とお預かり。