十数年前の今日3月23日は大學の卆業式でした。
何を間違えたのか私はこれでも經濟學部の卆業生総代をする事になってしまい、友人達を大いに驚かせたものでした。
他學部の総代の方は名前を呼ばれては返事をして証書を受け取ると云った流れを粛々と行っていたのに何故か私の時だけ會場がどよめいたのが良い思い出です。
大學時代はとても総代になる學生とは思えない様な色々といい加減な事をしては見えないところで日々精進でした。
そうした生き方が好きな性分だと未だに思っております。
ゴルフの思い出
そんな大學時代の生活が終わってから随分と經ちました。
社會に出てから久しく、漸く私なりに一端な生活習慣を身に附けたかに思えます。
普段は所々で手を抜いて、いざと云う時に備えるべく、見えないところで日々精進。
あの頃と同じ様に日々を愉しんでおります。
そうした中、ここ最近で新しい生活の仕方として取り入れたものが「ゴルフ」でございます。
こう見えてもゴルフは好きで、大學時代は單位を全て取り終えてしまい就職活動も無事に濟ませた4年次は遊びに時間を費やす一方、履修する必要の無い好きな授業を取っては友達と樂しんでいたものでした。
その一つに体育科の選択科目の「ゴルフ」がありました。
授業の内容は打ちっ放しに行って1ケース打ち込むと云ったもので1回の授業に300圓乃至が600圓が消費されましたが、これが樂しかったものです。
これは友達数名と週1で練習場に通う事でもあり、講師の先生もかなりのゴルフ經驗者で色々とスイングのアドバイス等を戴いたものでした。
學期末の試驗は「アプローチをしてピンそばに着ける」か「ティーショットで決められた標的に飛ばす」のいづれかでした。
ちなみに私はドライバー等で飛ばす事よりも7番アイアン辺りのアプローチが得意だった様です。
左利きなので打席が限られましたが大學時代の良い思い出です。
それから随分長い間ブランクがありましたが、最近になって何やら興味が再發してきました。生活に少々のゆとりが生まれたのかもしれません。

我がWiiは未だ健在なり
このところWiiのゲームでゴルフをしております。
物持ちが良いとよく言われますが周辺機器も問題無く動作しております。
そのまゝでは輕過ぎるので手に重りを取り附けてリモコンを振っておりますが、これがなかなかよく出來ていて日常の隙間の様な時間にストレス解消と良き運動となっております。
しかし日々の暮らしでゴルフが役立つのはこれだけではありません。
マナーとエチケット
少し前に圖書館でこんな本を借りて參りました。

ゴルファーの心得
これはゴルフをプレーする上で重要になるマナーやエチケットが記されており、ゴルフ場でラウンドに出る際は必ず一讀しておくと良いとされております。
最近は随分緩くなってきた様ですが、本來ゴルフは統御されていない自然を相手にし、且つ審判の居ない競技でもある為、競技者の人格が大いに試される種目であります。
俗に「紳士のスポーツ」とも呼ばれており、他の球技と比べて競技のルールと同等以上に競技者のマナーやエチケットを問われると云う大きな特徴があります。
私が生活習慣としてゴルフに着目したのはこの部分でございます。
「紳士たる振る舞い」を日常に
最近は恐るべき肥大化した個人主義が台頭しており、その猛威は日常のすぐ近くを脅威に陥れているのであります。
そんな中で思い出すのがこのゴルフに於けるマナーとエチケットです。
私の信条として「人様に迷惑をかけない」と云うのが絶對的に存在致します。
専門的な事はともかく、ゴルフ場での「紳士たる振る舞い」も結論的にはこれに繋がっているものでございます。
他者を蔑ろにする自分勝手ではなく、そこに居るすべての人を思いやるこの取り組みは鳥渡高級なゴルフクラブでは常に求められているものでございます。
もしこれを破る様な事があればゴルフ場から退場、最惡の場合「出入禁止」や「會員抹消」ともなる恐れもあります。
マナーやエチケットを守らない者は追放されるのです。
それは或る種の「決まりもの」であり、それがあるからして多くの人がトラブルを回避して樂しみを共有出來る様になるものです。
その為の仕組みなのであり、この不自由を遵守する事が最終的に幸福の最大化につながるものであります。
不自由を遵守する
さて、舞台をゴルフ場から日常生活の場に移してみましょう。
今日そこは歪んだ「アナーキー」の如く無秩序状態であります。
かの有名なピッコロ大魔王が理想とした「惡と恐怖に満ちた素晴らしい世界」と云う訳です。
一切の制限が無くなれば、そこに在るのは大いなる不幸と云う事であります。
この逆説的で矛盾しているかの様な理屈の説いている事が日々守るべき「不自由」と云う事になるのかもしれません。
「不自由」とは決して忌み嫌われるばかりのものではないのかもしれません。
それが有る事によって様々な問題を回避する事にも繋がる場合があります。
或いはマナーやエチケットも一種の「不自由」とも捉える事さえ出來るでしょう。
然るに我々はこの「不自由」を守り、件の書物に記されるゴルフをプレーするに當たっての競技者の心構えの如く、日常生活に於いてマナーとエチケットに氣を配る「紳士たる振る舞い」が必要なのだと思うのであります。
イマドキは不自由を嫌う傾向が強いものでありますが、幾ら自分だけの世界に閉じ籠ろうとしても社會生活を營んでいる以上、それは無理と云うものです。
また不自由に慣れていなければ、いざ自分がそうした場に置かれた時に必ず破滅的な問題を起こしてしまうでしょう。
ものには限度があり、これは眞言密教の説く教えの如く、一つ間違えれば大変な害惡になってしまうものでありますが、そこに「ゴルファーの心得」を參考にしてみると日常生活に於ける「紳士たる振る舞い」とは如何なものかと云うヒントを得る事になるのではなかろうかと存じます。
ゴルファーのマナーやエチケットは書籍やインターネット等で容易に調べる事が出來ます。
色々と長くなるので割愛しますが、かいつまんで言うと「他人に迷惑をかけない」と云う事に尽きると思います。

決まりを守って樂しくプレー
全てのプレーヤーに敬意と思いやりを。
社會は大きなゴルフ場の様なものであり、そこには多くの人の集まる「クラブハウス」もあれば、様々な人がラウンドを愉しんでおられます。
そのどこかで、いさゝかでも自分勝手が横行して決まりが破られゝば、それはより多くの人に波及して大いなる負の作用を生み出す事でしょう。
そうならない為の取り組みに今一度注目してみては如何でしょうか。

「いいぞ」と思える振る舞いを
それを大切に出來る社會人を心掛ける事にして、懐かしきあの頃、着物で臨んだ大學の卆業式を思い出すのでありました。