先日、近所の八百屋で面白い物を賈って參りました。
それがこちら…
加工されている品物はしばしば目にするのですが、實がそのまま丸ごとと云うのは初めてです。
値段も比較的廉価だったので賈ってみました。
しかし、何分にも初めて手にする果物なので、その食し方は色々に調べ乍らまさに手探りの様相を呈していたのでありました。
よく見かける中の汁を飲んでみる之圖であります。
頂部に錐で穴を開けてストローを挿して飲んでみます。
なるほど甘く獨特の風味を持つココナッツウォーターであります。
苦難の始まり
さてここ迄は割と樂に出來たのでありますが、問題はこの先です。
このココナッツの外皮はとても堅く、こうして切り開くのは容易ではありませんでした。
鋸道を深く附けて金属製のヘラを挿し込み玄翁で打ち付け、梃子の要領でパカっ…となんとか開ける事が出來ました。
DIYで使う道具箱から工具を幾つか持ち出して果物を食べるのは初めての軆驗です。
件の八百屋で働いている東南亞細亞某國出身のアルバイトと思しき方に訊いてみると、本國では岩に叩きつけて粉々に砕いてしまう様です。
兎に角、ココナッツを食べるのは力尽くだとか…。
流石にそれは真似出來ませなんだが、この通り白い果肉が詰まっているのです。
この中身を加工した物が俗に「ココナッツミルク」と言われる物で私も時々お世話になっているのですが、折角の生の椰子の實なのでそのまま食べる事に致しました。
なんでもこの實にはアンチエイジング効果とやらが豊富にあるらしく、肌もすべすべになるとか……。
ところが……
一見すると柔らかな感じに見える果肉ですが非常に硬いのです。
取り出すだけでも一苦労なのであります。
そのまま食べると何とも特異なクセが有り、不思議な感じのする食感と味でありますが、個人的には惡くないと思っております。味はそんなに甘くありません。
我が愛刀、関孫六で切れ込みを入れ乍らスプーンやバターナイフ、果てはお好み焼きのヘラ等を使い少しずつほじくり返してはシャリシャリと食べていきます。
遂にきた…!
そんな事をしつゝ、数日が過ぎ…
先に述べた通り、粉砕してしまえばもっと樂に實を取り出せるのですが、敢えてそれをしなかったのには理由があります。
まずは實をくり抜いた後の外皮をよく洗います。
折角のココナッツなので、ちゃんと「ヤシの実洗剤」で洗います。
そしてよく水氣を切って乾かして…
この様に器の様にしてしまいます。
水を入れても漏れないのでこれからは器物として用いる事に致します。
私はコレがやりたかったのです!
器が面白ければ、あら樂し
例えば麥酒を紙コップに入れて呑むか、ちゃんとしたグラスに注いで呑むかで旨さが違って感じるのと同じ様に、器に面白味があれば色々に樂しめるのであります。
この通り器として使えるのですが、折角なのでフルーツ缶をこれで食べてみます。
すると、なんとなく樂し氣な雰囲氣になって面白いのです。
この通り、蓋の様にすると球形のココナッツの實その儘の形になります。
フルーツを食べ終わって残ったシロップはこうしてストローを挿して飲むとまた面白いのです。
恰も南國の椰子の實の如く、氣分は何とも「トロピカル」なのであります。
何でもないトコロに面白味を
少々手間がかかるかもしれませんが、こうした何でもないトコロに面白味があると生活が樂しくなります。
特に器物は一見、無意味な様でも器自軆が面白いだけで氣分も高揚してくるのであります。
或いはそこに盛られた料理も美味しく感じる事が出來るでしょう。
今年の連休も外出は自粛致しますれば連日家の中でくすぶっているよりか、こうして樂しみを作ってみるのも宜しいかと存じます。
そう云う事に夢中になると「外で呑めない」だの「旅行に行けない」だのと云った不平不満も薄らいでくる様であります。