はや寒の入りも過ぎぬれば寒さの一段と厳しき今日この頃でありますが、きちんと防寒して暖かく過ごしたいものでございます。
この暖かくと云うものは言う迄も無く物理的に暖を取る方法で成し得るのでありますが、少々工夫致しますればこの温かさもヒトシオにてございます。
折角の寒さ厳しき冬の日にてございますれば、温まり方も愉しんで行うのが宜しかろうと存じます。
それが愉しい冬の過ごし方と云うものであります。
内に在る暖
所謂温度を高める事は外的な暖と言えるのではなかろうかと存じますが、表題の示す通り「ホクホク」と温まるにはこの「内的に暖かく」と云う事が大事になって參ります。
では、どの様に内的に暖を取るかと考えるのであります。
まずは何と言ってもコレ、お風呂であります。
ただ單に湯に浸かる事よりもそれ自軆を樂しむ事を工夫されると、同じ温度の湯に同じ時間入っていても「感じ方」が違って參ります。
この温かさの「感じ方」が大切なのです。
日常の小さなものから愉しめる工夫をする
こうした温かさを得るには工夫が必要なのでありますが、ほんの小さな事でも効果は充分であります。
何も大掛かりに身構える必要はございません。
例えば、こちらのスリッパ。
これは部屋で使っている愛用の品なのですが、数年前に青森を旅行した際に利用した東北新幹線のグランクラスで戴いてきた物でございます。
きちんと乗員に声をかけて了解を得た上で戴くのが「エチケット」です。
何せかのグランクラス、現在の鐡道に於ける「特ロ」を超えた「一等車」なのであります。
あの豪華さと贅沢な氣分は今日では樂しい思い出であります。
その思い出を呼び起こす所謂一つの「アイテム」がこのスリッパであります。
履くだけでそんな「リッチな氣分」に浸れるのですから、ただ足元を暖めるのとは違うのであります。
つまりは、こうした心の持ち様が心身ともに温かくするのであります。
…因みにもう一つ、サンライズエクスプレスのA個室寝台を利用した際のスリッパも有るのですが、こちらはまだ未使用です。
いづれ使おうと思います…。
當時、グランクラスに乗った際にまたまたアテンダントにお願いして持ち帰ったワインの空き瓶でありますが、こうして代わりの白ワインを入れて愉しむ事も出來ます。
グランクラスでしか手に入らないお洒落な瓶を見乍らの一杯はまた格別であります。
物理的に何の温度も發生しないこの白ワインでありますが、それを愉しむ心持ちが体を温かくするのであります。
何か大切な物を持つ事
私の場合、今回は新幹線のグランクラスを利用した際の豪華で贅沢な思い出が宿る品物でありましたが、人それぞれ何でも結構なので愛用の、それも使っていて樂しい氣持ちになれる道具を持つ事は一人を愉しむ上でも非常に重要だと思います。
それらを實際に使ってみて味わう樂しさは日常生活に於ける何でもない場面では眞に格別なのであります。
その格別を澤山味わった方が宜しいのであります。
寒波を越えて
昨今いさゝか強い寒波が押し寄せている様でございますが、そんな状況下でも樂しいものは樂しい。
それを心置きなく味わおうではありませんか!
こうして自作の囲炉裏で熱燗など戴き乍ら夕餉を愉しんでおります。
愛用の品、お氣に入りの物、思い出の道具…それらを工夫して使ってみると温かもヒトシオです。
ー追伸ー
そう言えば世間では「成人の日」と云う旗日が今年も在ったそうです。
この日は今年新たに「成人」となる方々が凛とした姿を見せる日らしいのですが不思議な事に圖軆の大きなお子様も毎年一定の割合で一緒に參加されている様であります。
今年も例外ではなかった様ですが、或る情報筋に縁ると、こうした「大きなお子様」は今は良くても、そう遠くない内に實情が知れ渡り、多くの人から蔑まれ、疎まれ、憎まれ、或いは醜態を晒され、場合に由っては人生上の大きな悪影響を及ぼす事になるそうであります。
然して本來、一生の寶物になる筈の成人の日の思い出が時を經る毎に光を失い、段々と忌まわしきものになっていくのだそうであります。
そうした一つの「温かさ」を自らの手で破壊せるに至った訳でありますが、かのハンプティダンプティの如く誰も元通りには出來ないのであります。自業自得ですから「仕方無いね」の一言です。
お子様には解るまいが大人の世界とはそう云うものなのです。
今日の天氣圖の示す低氣圧の如く、その顔色が青ざめるのは、いづれどう足掻いても避けられない様であります。
嗚呼、哀れなるかな年齢のみを以って「新成人」と呼称されてしまう大きな子供達の矮小な未來に向けて、献杯。
慎んで哀悼の意を表する。