所謂「ロボット掃除機」の事を俗に「ルンバ」と称しますが、私は掃除は自分でしてこそだと思っております。
特段の事情が無い限りロボット任せにしていては怠惰になるどころか掃除が下手糞になり、どんどんツマラナクなるだけであります。
何事も自分の部屋を愛していればこそです。
恋人への好意を他人任せにするものではないのと同じ様に、大事な部屋は自分の手で慈しまなければなりますまい。
自分の掃除したい個所を的確に綺麗にするには機械の計算に頼らず自分でするのが一番であり、自分が勞力を出すのであるからしてその達成感もひとしおと思っております。
…とは言え、面倒である事に変わりは無いので、その辺は工夫の余地があるでしょう。
階下や隣戸への音を配慮して掃除機ではなく所謂「クイックルワイパー」の類を使っているのですが、ここに來て私も掃除をする機械を導入致しました。
池袋の家電量販店にて5,800圓で購入した我が「ルンバ」であります!
ヒントは「コンダラ」
賈ってきたのがこの戰車のラジコン…。
我が國の誇る陸上自衛隊の「10式戰車」であります。
「10式」と書いて「ヒトマルシキ」と讀みます。「ジュッシキ」ではないのです。
見て解る通り、カーペットローラーが車体に連結されております。
グラウンドを整地する時に用いるコンクリート製のローラー、通称「コンダラ」と申しますが、それが附いている軽トラックを思い出したのであります。
こう見えても少年時代は野球をやっていた經驗が有り、當時いつもの様に運動場に停車していたあの車をヒントに製作致しました。
尚、余談でありますが「コンダラ」とは、かの有名漫画『巨人の星』の主題歌の歌詞に有る「思い~込んだら~♪」の部分がいつの間にか「重い~コンダラ~♪」になってしまい、その歌の時に星飛雄馬がグラウンドで整地用のローラーを牽いているシーンが流れた為、あのローラーの事だと思われてしまったとか云う經緯があるそうです……。
因みにアレは押して使う物であり、牽いて使うと事故の原因になり腰も傷めるので我々は使わない様にコーチから言われておりました…。
製作手順
製作と申しましても、ラジコン本軆にカーペットローラーを取り附けるだけでありますが、これがなかなかにして曲者であります。
第一に、確実にローラーでゴミを取らなければ意味が無いのでローラーは必ず戰車に對して常に正面を向いていなければなりません。
そして第二に床面に對して一定の圧力が加わる様に轉がらなければなりません。
以上2点が達成されなければ、このローラーは全く役に立ちません。
これらを考慮して、まずは材料集めであります。
カーペットローラーは柄を短く切り落とします。
ガルバリウム鋼板とは屋根材等に使う丈夫な板金であります。
これなら戰車がどう動こうともズレたりヨレたりしません。強度も十二分です。
また適度な柔軟性もあるので、ローラーを床面に密着させるのに都合が良いのです。
このガルバリウム鋼板は近所の板金屋さんから分けてもらいました。
この板金にローラーを取り附け、更にそれを戰車本軆に取り附けます。
上画像の如く、戰車に取り附ける際のビスの穴を開けておきます。
手前側に4つ開いている穴はローラーの柄を針金で括り附ける為の物であります。
尚、針金だけでは強度不足なのでガムテープで完全に緊結します。
このラジコン本軆はパッケーヂにビス止めされて固定してあったので、その時のビスとビス穴を流用します。
この様に簡單に取り附けられます。
このビス穴は車軆前後に開いておりますので、ブルドーザーの如くローラーを戰車の前に取り附ける事も出來ます。
10式戰車の大活躍!
ローラーを取り附ければ準備完了であります。
早速、乾電池を入れて動かしてみるのであります。
こうして見るとかなりゴミがよく取れます。
私の部屋は現在畳敷きの為、クイックルワイパーではゴミを取り切れないのでありますが、これならバッチシであります。
流石は戰車です。
到底「ルンバ」では越えられそうにない敷居の段差もいとも輕々と越えて行きます。
少々部屋に物が落ちていても大丈夫です。
恐らくロボット掃除機では右往左往するばかりで進めない場所もお構い無しに乗り越えて行きます。
お掃除を樂しく
狭い1Kの部屋なので椅子に座り乍ら操作すればラジコンはお部屋のほぼ全域を行き來していきます。段差も障害物も平氣です。
樂な上に樂しいのであります。
景氣附けに『怪獣大戰争マーチ』の音樂などを流すと一層掃除が樂しくなります。
戰車のラジコン操作は少々獨特で左右の履帯を個別に動かすのでありますが、その場で旋回したりと小廻りが効いて眞に掃除にはうってつけのラジコンであります。
陸上自衛隊最新鋭の戰車でありますから見ていてもカッコイイものです。
ついつい億劫になってしまう部屋の掃除も、こうしてやってみると面白くて良いものであります。
便利になる事は怠惰になる事ではないのであります。
それは或いはこうして心の豊かな時間を多く持つ為のものであると考えております。
いやはや、こんな良い品物が5,800圓程で賈えるなんて良い時代になったものです。
余談…
實はこの10式戰車は砲塔を指向させてBB弾を連続で發射する機構が備わっております。
そこで我が「Gフォース」として任務にあたるのであります。
やっつける相手はあの怪獣ではなく、あの黒い甲虫…。
最近の不届き者は殺虫剤でもなかなか死ななくてすぐに物陰に隠れてしまうので、そう云う時はこの戰車を出動させて陽動作戦に打って出ます。
離れたば場所から「G」が潜んでいると思われる場所に突撃させて發砲、燻り出すと同時に殺虫剤を噴霧するのです。
以前迄はこの駆除作業は嫌なものでありましたが、要は工夫次第であります。
日々の暮らしを工夫で樂しく。それが私のモットーです。
お彼岸です。
「暑さ寒さも彼岸迄」とか申します通り、いささか涼しくなってきた今日この頃でありますが、お墓參りの後はこうして綺麗になった部屋で熱いお茶と一緒におはぎなどを食べておりました。
傳染病に負けない前にその鬱屈に負けない様に心掛けております…。